三部作で綴られたエウシュリー最高傑作SRPG『天冥のコンキスタ』制作の裏側をメインクリエイターの方々に語ってもらったぞ!!
低価格に、コンパクトにという方向性に進む美少女ゲーム業界においていまだに骨太な『遊べるエロゲー』を作り続けるブランド・エウシュリー。そのエウシュリーの大作SRPG『天冥のコンキスタ』シリーズが、7月29日発売の3作目『天冥のコンキスタ-天上決戦編-』にて、ついに物語が完結!! それを記念してBugBug8月号では5ページにわたってメインクリエイターの方々から貴重なお話をとことんまで語ったもらったぞ!! ここではその内容の一部をダイジェストで紹介しよう。
▲天冥のコンキスタ』シリーズには多くのクリエイターたちが参加しているが、今回参加していただいたのはこちらの方々。本作がメイン原画としては初になるうろ氏、第2部から参加のベテラン原画家やくり氏、そしてシナリオライターの花咲氏だ
ユーザーからの反響を元に3部構成が決定した『天冥のコンキスタ』
──まずはみなさんの自己紹介からお願いします。
花咲:じゃあまず『天冥のコンキスタ』シリーズでメイン原画のうろ先生から。
うろ:初めまして、うろと申します。エウシュリーでは『天秤のLaDEA。戦女神MEMORIA』で最初の原画を担当しました。
──それはどういった経緯でだったのですか?
うろ:最初は彩色で入ったんですが、その時に「キャラも描いてみて」と言われて、何キャラか描いたんです。そこで男キャラがいいねってことで、『天秤のLa DEA。』で男キャラを何人か描くことになりました。
──ありがとうございます。続いてやくりさん。
やくり:エウシュリーで原画家をしているやくりです。『天冥のコンキスタ』ではラムエルとアンリエットを担当しました。
──やくりさんはエウシュリー歴もずいぶん長くなりましたよね。
やくり:そうですね。アナスタシアの『魔法が世界を救います!』が最初だったので、15年くらいになります。
──エウシュリーに入ったのは、どういう経緯だったのでしょう?
やくり:当時働いていたゲーム会社が解散したので、エウシュリーに引き抜かれた感じですね。実はエウシュリーとは同じ建物の隣の部屋だったんですよ(笑)。
──それも縁ですよね(笑)。では最後に花咲さん、お願いします。
花咲:シナリオライターの花咲樹木です。『天冥のコンキスタ』ではディレクターの如月聖が作ったプロットを元に物語を作っていくという役割でした。エウシュリーには『神のラプソディ』の頃に入ったので、実はこの3人の中では一番の新参です(笑)。『天結いキャッスルマイスター』辺りからメインシナリオを担当させていただいています。
──ありがとうございます。本日は『天冥のコンキスタ』についてお話を伺っていこうと思います。シリーズは7月発売の『天冥のコンキスタ -天上決戦編-』で完結ということですが、こちらは3部作と考えてよいのでしょうか?
花咲:はい。3部作作品となります。第1作目となる『天冥のコンキスタ』を発売した後にユーザーさんの反響が返ってきて、そちらの評価が元となり第2部と第3部の制作が決定しました。
▲これまでエウシュリーでは主に脇を固める男キャラやモンスターを担当してきたうろ氏だが、今回ついに初メインに
原画家、シナリオライター共に感じた3部作ゆえの制作の難しさとは
──初の3部作作品ということで、特にシナリオの花咲さんは大変だったのではないですか?
花咲:実際にストーリーを考える立場ではないので他の作品と比較はできませんが、やはり難しさはありました。これまでは1本のソフトの中での第1部、第2部だったので、それぞれのチャプターは、次への引きを作ればよかったんです。でも『天冥のコンキスタ』ではそれぞれを一つの商品として出すので、それぞれをプレイしたユーザーさんにある程度満足してもらえるオチを付けながら、次への引きも付けなければいけなかった。「全てを解決させずにエンディングを作る」というのが2回続いたんですね。そこが難しかったです。
──作画の方はいかがですか?
うろ:そうですね……でも2作目以降はエッチシーンを量産していくだけなので、そこまでは(笑)。
──そうは言っても1作目ではキャラも多いですし、エウシュリー作品だとエッチシーン以外にも様々な絵が必要になるじゃないですか。
うろ:そうなんですよ。なので1本目では結構な量の絵が必要になりました。
──そして『天冥のコンキスタ -魔族制圧編-』からは、やくりさんも参加されたわけですね。
やくり:そうですね。2作目から参加することは早い段階で決まっていたんです。それで制作準備が整ったところで、「こういうキャラを描いてほしい」と言われたという流れです。
花咲:ラムエルが生まれたのが『天冥のコンキスタ -魔族制圧編-』の詳細を詰め始めてからなんです。第2部はどういう物語にするか、それにはどんなキャラが必要か…それが固まっていく中で、ラムエルというキャラが出てきたという感じですね。
──シリーズ2作目から原画家として入っていく難しさなどはありましたか?
やくり:いえ、そういうことは感じませんでした。いつも通り、「こういうキャラです」というお話をいただいて、それに沿って描いていきました。今までのやり方と変わったところはありませんでした。ただ、うろさんが言ったように、私も『天冥のコンキスタ -天上決戦編-』の時は、絵がブレるんじゃないかと心配しました。なので『天冥のコンキスタ -魔族制圧編-』のイベントCGを見ながら、ブレないように調整して描いてはいました。
──うろさんは、そういった経験がありますか?
うろ:いえ、まだキャリアが浅いんで(笑)。ただ、『天冥のコンキスタ』で初めてメイン原画を担当したので、今回のキャラがそういう立場になれればいいなと思っています。
花咲:でも、さすがの一言ですよ。僕が会社に入ったときから「こんなにうまいのに、なんでメイン原画をやっていないんだろう」って思っていました。今回の仕事を見て、「これまでは合う企画がなかっただけなんだな」と改めて思いました。実力は一流ですから。
やくり:何でも描けるんですよ。女の子はもちろん、男性キャラも魔物も描けちゃう。だから逆にメインではなかったんだと思います。
花咲:ラスボスとかは、やっぱりうろさんに描いてほしいんですよ。その時にメイン原画をやっていると、ヒロインのCGでいっぱいになってしまいますから。
うろ:言われたことがありますね(笑)。
▲シリーズ1作目の開発は2019年頃から始まっている長期シリーズなので、途中で絵がブレないようにする苦労もあるとのこと
ユーザーの声を反映させての続編作成3部作だからこそできた制作アプローチ
──『天冥のコンキスタ -天上決戦編-』を作るにあたって、もっとも影響のあったユーザーの意見はなんでしたか?
花咲:「登場キャラをもっと掘り下げてほしい」ですね。第3部では新たに仲間になる新キャラがいないんです。物語がエンディングに向かう終盤で新キャラにCGなどのソースを使うより、物語のクオリティーを高める方に費やした方が、ユーザー満足度も高くなると考えたので。そこでご意見を参考にして、第2部までに仲間になったキャラのエッチシーンやイベントシーンにCGやシナリオなどのソースを使うことにしました。3部作になりユーザーの意見を途中で聴けるようになったわけですから、それにできるだけ対応していくのは、クリエイターの義務だと考えています。
うろ:実は僕も第1部を見て、「なかなかキャラが出てこないなあ」とは思っていたんです(笑)。それがユーザーさんの声を受けて、第2部、第3部と登場機会が増えていったわけで、これは気合を入れて描かないとなあと思いました。やっぱり「このキャラをもっと見たい」と言ってもらえるのは、絵を描いた側からしても嬉しいことですから。
──やくりさんは第3部に向けて新たに試みたことなどはありましたか?
やくり:やっぱりユーザーさんの声が、ストーリーの方に集中していたんですよ。なので「お話を考える人、頑張れ!!」って思いながら絵を描いていました(笑)。
花咲:シナリオ作らないとキャラクターは出てきませんからね。
やくり:その中で自分の描いたラムエルやアンリエットが活躍してくれると、やっぱり嬉しいですね。
──さらに3作目ともなると、絵を描く側もキャラクターの理解度が深まったりするのですか?
やくり:うーん、それは深まりますね。単純に描いている期間も長いですから、キャラの性格もよりわかってきますし。「このキャラだったら、こういう風に動くだろうなあ」というのがわかってきます。
うろ:自分が描いたキャラで言えば、ヘルミィナなんかは第1部と第3部で、かなりキャラクターが変化しましたよね。
花咲:第1部ではクラウスの恋人というか妻のような立ち位置だったんですが、第2部でラムエルか加わってから、母性が増えていったんです。守るべき存在ができたってことなんですけど。
うろ:とはいえ、絵の部分で大きく変えることはしませんでした。立ち絵は第1部と同じなので、「誰?」ってなってしまう。なのでシナリオに合わせて、第1部にはない表情を描くことなどで、そういう部分を表現できればと考えていました。
花咲:ゲームならではの難しさかもしれませんね。
▲シリーズを通して立ち絵は共通、そのなかで成長や変化を感じられるようにする…ゲームならではの苦労だ
第3弾ではサブキャラたちの掘り下げや、本誌スクープ(!?)の驚愕の情報も!
──うろさんはヘルミィナ以外にもたくさんのキャラを描いていますが、『天冥のコンキスタ -天上決戦編-』で印象が変わったキャラはいますか?
うろ:ルシエルという銀髪の天使がいるのですが、第1部ではツンツンしていて、最後ちょっとデレたかな?って感じだったのが、第2部、第3部とどんどんデレていくんですよ。「あれ? これルシエルか?」って思いました。
花咲:確かにルシエルは変わりっぷりが激しかったですね。実はディレクターが最初に考えたルシエルは、あんなにデレなかったんです。シナリオライターの宿命といいますか、「プロットより面白くしたい」という気持ちがあるんですよ。そう考えた時に、ルシエルは頭がいいからこそ暴走したら止まらないなっていうのを思いついたんです。第1部では対立する勢力の将軍同士としてクラウスと出会うわけですよね。だからこそ、その壁が壊されてしまうと、もはやクラウスの信奉者のようにデレデレになってしまうわけです。正直、花咲の遊びだったんですけど、それがユーザーさんにウケてしまったので、第3部ではさらに突っ走るしかないだろう、と(笑)。
うろ:そんな事情があったとは知りませんでした(笑)。
花咲:だってディレクターもシナリオを読むまで知らなかったんだから(笑)。暴走してしまいました。
やくり:うろさんの描いたキャラといえば、レジ―ニアが立ち絵のイメージとゲーム中のイメージが全然違っていて。途中から頭にネコを乗っけていませんでした? かわいくて、デバッグの時にずっと使っていたんですけど。
──ん? ネコですか?
うろ:レジ―ニアは一番好きなキャラなんですけど、最後まで変わらなかったキャラですね。
花咲:これもシナリオライターの遊びなんです。レジーニアは天使だけど羽根の色が濃くなっていて、普通の天使とは違う考え方をするキャラというのが最初から決まっていたんです。天使なのに、神様の言葉より科学に重きを置いているキャラで、ルシエルとは対照的な天使なんです。それをより際立たせようとしたら、第1部から第2部にかけてのあんなキャラになってしまって…わからない人はぜひゲームを遊んでください(笑)。
──ええと……ネコ、乗せてましたっけ?
うろ:実はキャラデザインの時に、頭にネコを乗せていたんですよ。最初の指示にも書かれていたんですが、第2部まで全然出てこなくて(笑)。
花咲:そうなんですよね。だから今お話ししていて、BugBugの読者さんに伝わるのか不安になっています(笑)。
うろ:第3部で突然出てくるので、今回用に作ったのかと思われちゃいますよ。
▲第3部ではレジーニアの頭にネコが乗るらしい!? 実は元々用意されていたのに使われなかった設定だとか
シリーズ最終章ならではの見どころ満載、エウシュリーならではの大作を見逃すな!!
──シリーズ最終作となる『天冥のコンキスタ -天上決戦編-』。改めてその見どころをお聞かせください。
うろ:やはりついに決着するところですね。黒幕も出てきますし、最後の戦いもあります。最終決戦はとても熱い戦いに仕上がってると思います。
やくり:あ、そっちか。私は、今までどうプレイしたかで展開が変わってきますので、そのエンディングですね。第2部までプレイしただけではわからないエンディングになっています。
花咲:自分が思う見どころは、やはり主人公のクラウスです。最初は冷徹で復讐心だけで動いていた人間が、仲間と一緒に旅する中で、どんなふうに変わっていったのか。主人公なので、ずっとユーザーさんと一緒に歩いてきたわけです。なのでユーザーさんの気持ちとリンクできたら嬉しいですね。
──楽しみにしたいところです。それにしても美少女ゲーム業界が色々と変わっていく中で、やりこみ系の大作ソフトを作るブランドも数少なくなりました。BugBugとしても、今後もずっと作り続けてほしいと願っていますが、その辺りの立ち位置などは、どうお考えでしょう。
花咲:そう言っていただけるのは本当に嬉しいですね。自分たちはクリエイターなので、作品作りの中で全力を出したいとは常に思っています。もちろん予算や開発日程は決まっていますが、その中で作っている1本のソフトを、より良いものにしていきたい、というだけですね。
やくり:私もこれまでやりこみ系のゲームにたくさん関わってきましたけど、他社さんと比べてどうこうっていうのはないんです。自分が描きたい絵を描かせてもらっているので、楽しいなって思っています。
うろ:そうですね。やっぱり一絵描きなので、魅力的なキャラをたくさん描いていくだけですね。
花咲:デバッグは大変ですけどね(笑)。原画家もシナリオライターも総出でデバッグするんですが、デジタルノベル系とは違うんだろうなって思います。
──同人業界ではRPGやSLGも増えていますが、その辺りはいかがでしょう。
花咲:そうですね…ただ、エッチシーンを盛り込んだうえで、このボリュームのRPGやSLGというのは、やはり商業ならではだと思います。そういう中で、弊社としては少しでもユーザーさんに楽しんでもらえるゲームを今後も作り続けていきたいと思っています。
▲遊びごたえのあるゲーム性と先が気になるストーリー、キャラクターたちの成長が胸を熱くする『天冥のコンキスタ』三部作も、ついに最終章へ。一作目からプレイしてみたい人のために全てがセットになった『天冥のコンキスタ コンプリート版』も同時発売されるぞ!!
さらにエウシュリーを取りまとめるディレクター・如月聖氏へのインタビューも!!
今回ここに掲載しきれない開発裏話もBugBug8月号にはたくさん書かれている。さらにエウシュリーのディレクターである如月聖氏へのインタビューも掲載されているのだ。クリエイター座談会の全内容の他、クリエイターとしての3人とは異なる広い視点でエウシュリーというブランドそして美少女ゲーム業界の今後を見据える如月聖氏による含蓄のある言葉もあわせて、ぜひじっくり読んでほしい!! カラーの特集ページでも4ページにわたって『天冥のコンキスタ-天上決戦編』を紹介しているのでそちらも併せてチェック!!
▲社内の複数のプロジェクトを管理し、作品ごとの企画とプロットも作るディレクターの如月聖氏。メンバーの役割分担から業界全体の動向まで見てエウシュリーの舵を取る立場ならではのインタビューとなっている
▲『天冥のコンキスタ-天上決戦編-』の紹介は58ページからカラーで4ページを使ってこちらも濃密に紹介しているぞ。胸躍るストーリー、遊びごたえのあるゲームシステム、そして魅力的なキャラクターたちとのHシーン情報はこちらで楽しんでね♪
天冥のコンキスタ-天上決戦編-
エウシュリー
2022年7月29日発売予定
SRPG、DVD/DL、18禁、Win8.1/10
パッケージ通常版・DL通常版:4,840円(税込)
パッケージコンプリート版・DLコンプリート版:10,780円(税込)
ボイス:あり、アニメ:なし
原画:うろ、夜ノみつき、やくり、鳩月つみき
シナリオ:如月聖、花咲樹木、横比良こゆき、坂元星日
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